第三話 要約|AIとの出会いが、僕に希望をくれた。でもその希望は、完成しないまま消えていった。
長年攻略し続けてきた、私にとって“城”ともいえる店舗。
その店から出入り禁止を告げられた日を境に、スロプロとしての人生は大きく揺らぎ始めました。
新たな勝ち筋を探す中で出会ったのが、AIとスクレイピングという技術。
会話するだけでコードが生成されるその仕組みに、私は未来への希望を感じました。
しかし、その希望は完成しないまま、静かに消えていったのです。
希望と挫折:AIとの出会いと未完成のツール
出入り禁止となった店舗は、私の収益の7割を支えていた“城”のような存在でした。
その喪失は、戦略的にも精神的にも大きな痛手となりました。
新たに勝てるホールを見つけるのは、決して容易ではありません。
店舗ごとの傾向は異なり、データの蓄積にも時間がかかる。
信頼できる勝ち筋を見つけるには、膨大な試行錯誤が必要でした。
そんな中、私はスクレイピングという技術に可能性を見出しました。
複数店舗のデータを自動で収集できれば、現在のデータ収集力の限界を超え、戦略の再構築が可能になる──そう考えたのです。
しかし、プログラムを組むには私のスキルは力不足でした。
そんなある時、AIでコード作成ができるという情報をWEBで目にしました。
試しにChatGPTで「Pythonコードを作りたい」と入力すると、AIと会話するだけでコードが次々と生成されていきました。
全自動でデータを収集し、Excelにまとめる──そんな夢のような仕組みが、現実味を帯びてきたのです。
スクレイピングの構想と、AIによるコード生成。
この2つが重なった瞬間、未来が再び動き出すような感覚がありました。
スロット稼働をほぼ中断して開発に費やした2か月間、私は昼夜を問わずパソコンと向き合いました。
WEB制作会社での経験を活かし、基礎的なコードは書けたものの、複雑な処理には限界がありました。
挑戦の回数は数えきれず、何度も挫折を経験しました。
2か月で40万円近くの貯金を失い、焦燥感は、常に背中に張り付いていました。
それでも、このコードが完成すれば未来が開ける──その希望だけが、私を突き動かしていました。
理想とするプログラムを完成させるには、長くて複雑なコードを書く必要がありました。
複数店舗のデータを自動で収集し、整形し、分析まで行う──そんな仕組みを実現するには、私の能力の遥か上の技術が求められたのです。
何度も挑戦を重ねましたが、理解が追いつかず、コードは手に負えなくなっていきました。
そして私は、ついに諦め、またいつもの日常へと戻ったのです。
AIとの出会いは、確かに僕に希望をくれた。
でも、その希望は完成しないまま、静かに消えていった。
未完成の夢を胸に、僕は静かに、またいつもの日常へと戻った。
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