スロプロという生き方―自由を求めた20年|第1話:自由の気づき

スロット台の前でノートPCを開き、台の挙動を記録する青年 未分類
誰かの敷いた道に違和感を覚え、自分の力で生きることを模索し始めた大学時代──“自由”の設計はここから始まった。

第一話 要約|“自由”の設計はここから始まった

大学時代、僕は初めて「自由とは何か」と考えた。
誰かが敷いたレールに違和感を覚え、自分の力で生きる道を探索し始める。

そんな模索の中で出会ったのが、スロットだった。
それは、誰かに選ばれるのではなく、自分で選び、自分で稼ぐ──“自分次第”の手段になり得ることに気づいた瞬間だった。

この物語は、そんな気づきから始まり、スロットという手段を通じて“自由”を設計し直していった20年間の記録である。

人生に立ち止まった大学時代

小中高と、私の人生には常にレールが敷かれていた。
先生や親が決めた道を、疑うことなく走る。
そのレールは、ある意味“楽”だった。
迷う必要もなく、目標も与えられていたからだ。

しかし大学に入った瞬間、そのレールは突然消えた。
進むべき道が見えなくなった私は、初めて「自由とは何か」を考え始める。
誰にも縛られない。何をしてもいい。
それは一見、自由のように思えた。

でも、すぐに気づく。
レールのない人生は、自由のようでいて、実は“無計画”だった。
選択肢があるようでいて、何も選べない。
仮初の自由は、ただの漂流に過ぎなかった。

本当の自由とは、自分でレールを敷くこと。
自分の意思で、構造を設計し、目標を定め、行動を積み重ねること。
──けれど当時の私は、まだその技術を持っていなかった。
だからこそ、立ち止まり、迷い、模索する日々が始まった。

自分の力で稼ぎたい

周りの学生が就職活動に熱中する中、私はほとんど動きませんでした。
就職してどこかに勤めたいという気持ちが、まったく湧かなかったからです。

漠然とではありましたが、「自分の力で稼いでいきたい」という強い願望がありました。
誰かに選ばれるのではなく、自分で選び、自分で稼ぐ。
そんな生き方に、漠然とした憧れが、心の奥で静かに膨らんでいた。

面接で背伸びして、何者でもない自分を最大限にアピールする周りの学生たち。
彼らの熱意を、どこか冷めた目で見ている自分がいました。
その姿勢に共感できなかったのは、私自身がまだ“何者でもない”ことを受け入れていたからかもしれません。

ただ、その時点ではまだ「何で稼ぐか」は見えていませんでした。
無気力な日々を抜け出そうとしていたわけでもなく、ただ惰性で思うままに生活していました。
大学時代のアルバイトをそのまま続ける形で、2年ほどフリーターとして過ごしていました。
目的もなく、流れるように働き、流れるように時間が過ぎていく。
そんな日々の中で、何かを変えたいという気持ちだけが、心の奥にくすぶっていました。

そんなある日、パチスロが大好きな友人に誘われて、パチンコ屋に通うようになりました。
最初は、勝つ方法なんてまったく分かりませんでした。
ただ座って、ただ回す。
バイト代が一日で消えることもあれば、思いがけず勝てる日もある。
そんな偶然の波に揺られながら、私はパチスロという世界に足を踏み入れていきました。

次第に、勝ち方のようなものが見えてくるようになりました。
台の挙動や店のクセ、時間帯の傾向。
小さな違和感やパターンを拾いながら、少しずつ“勝てる感覚”を掴んでいったのです。

もちろん、それは一度掴んだからといって、永遠に通用するものではありませんでした。
勝ち方が使えなくなれば、素人レベルに逆戻りする。
また一から探し直す。 そんな波を何度も繰り返しました。

でも、その不安定さこそが、私にとっての魅力だったのかもしれません。
勝てる日もあれば、負ける日もある。 確かなものは何もない。

けれど、その不確かさの中で、自分の判断だけを頼りに動く。
自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の手で選ぶ。

それは、これまでの人生にはなかった感覚でした。
誰かが敷いたレールの上では味わえなかった、 “生きている”という実感。

自分の意志で生きているという実感。
それが、パチスロという世界の中で、初めて芽生えたのです。

プロへの第一歩

ある日、素人が見ても分かるほど、勝っている人が多いホールがあるという噂を耳にしました。
私はその店に通うようになります。

その店には、「今日の当たり台」に札を挿して発表するサービスがありました。
私は、その札が挿された台の番号を毎日メモするようになりました。

なぜなら、札が挿された台が翌日も出るパターンが多かったからです。
これは単なる偶然ではない。 そう確信した私は、データを取り始めました。

これが、私にとって初めての“勝ち方の構造化”でした。
感覚ではなく、記録と分析によって勝ち方を見つける。
その発想が、自分の中で芽生えた瞬間でした。

これが、自分に合った稼ぎ方だと感じました。
誰に縛られることもなく、自分の力で稼ぐ。
自由を求めていた私にとって、これ以上ない生き方でした。

ここから私は、「法則を見つければ勝てる」という視点で、パチスロに向き合うようになります。
偶然を排除し、構造で勝つ。
それが、プロへの第一歩でした。

独学で築き上げた「自作の分析ツール」

パチンコ屋の主な集客方法は、客に意図的に勝たせることです。
つまり、店は「勝てる仕掛け」を必ず用意しています。

スロットで勝ち続けるためには、店側の仕掛けの意図と、自分の行動をどれだけ一致させられるかが勝負でした。
そして、そのためには細かな情報も徹底的に蓄積する必要があったのです。

スロットを始めた当時、多くの人は手書きのメモ帳に台のデータを記録していました。
しかし、次第に私はその方法に違和感を覚えるようになります。
もっと効率的に、もっと構造的に記録できる方法があるはずだ。

そう考えた私は、独学でExcelを使うようになりました。
ウェブ上に公開されている店のデータを、Excelにまとめることから始めました。

最初は手作業でコピペしていましたが、効率が悪すぎる。
そこで、Excel内で使える「VBA」というプログラムを使って、作業を自動化することにしました。

VBAを使えば、店のサイトからデータを自動で取得し、整った形でExcelに並べることができます。
1ページずつしか処理できない制限はありましたが、手作業で10分かかっていた作業が、ボタンひとつで、数秒で完了するようになりました。

何より、この作業を簡略化し、ルーティン化できたことが大きな転機でした。
毎日、細かいデータを安定して取得できるようになったことで、それらを蓄積し、分析することが可能になったのです。

「使いにくいな」と思えば、何度でも作り直す。
そうして試行錯誤を繰り返すうちに、私にとって理想の「Excelによる攻略ツール」が完成しました。

感覚ではなく、構造で勝つ。
そのための“土台”が、ここで初めて整った瞬間でした。

この攻略ツールは、私が他のスロプロに圧倒的な差をつける武器となりました。
そして、私の自由な生き方を支える基盤にもなっていきました。


次回予告

自作したExcel攻略ツールは、僕に「勝てる仕組み」を与えてくれた。
しかし、僕はそこで止まらなかった。
次回は、このツールを使って、より大きく勝つために踏み出した“次の一手”について語ります。
自分ひとりで稼ぐ限界を、どう突破しようとしたのか──。

第2話はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました